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2025/02/02 19:42 |
お蔵入り
恥ずかしげも無く書きかけて飽きて書くのを止めた、所謂お蔵入りの文を晒してみる。
そう私はドM。

腹黒い田島様を目指してみたものの成れの果てです。
ひいじいちゃんの件とか絡めてタジミハまで持って行こうとしたけど面倒になってここまでで止めたのでした。
確かこれ書いてた時はウジウジ花井にぶちギレ田島様萌えしてた。
萌えの方向性がおかしいのは重々承知しています。
あー…続き書こうかなどうしようかな。


俺は嫌な奴だ。心のねじけた人間だ。自分で言うのもなんだが事実なのだから仕方が無い。心がねじけているだけあって、そのねじけた心を上手い具合に演技や嘘で覆い隠す事も得意だ。俺を知る人間は口を揃えて俺をこう評価する。--明けっ広げで裏表の無い、常に笑顔で気持ち良く、誰もに愛され誰をも愛する、詰まる所天真爛漫を具体化したかの様な少年--まあ、そんな評価は嘘っぱちで、誰一人俺の本質を見抜いて居ないのだ。そんな立派な少年なんか絵空事で実際に存在する訳が無い。しかしまぁ俺だって全員が全員嫌いと言う訳では無く、好きな人間だって少ないながらも存在するのだから、そんな少数の俺に好かれた人間の前には、先程の間違いだらけだった評価通りの俺が嘘偽りの無い事実として存在するのだ。
つまり、嫌ってる奴は居るけれど、そんな感情は噫にも出さすに好きな人間に対する態度で接して居るって事だ。
言葉だけで見れば、集団生活を営む上での常識かつ必須事項の様に感じるが、好いて居ない人間に対しては、心の中でボロクソに貶し捲ってるくせして顔はへらへら笑って話してるんだから質が悪いだろう?俺のそんな性格は、家庭環境と幼少の頃人格形成期には当たり前に存在していた野球のお蔭で形作られた。野球は心の底から好きだけれど、その辺りに関しては頂けないと思っている。その辺りとはつまり、俺の性格がねじけてしまう程の要因を孕んで居る、と言う点だ。野球はチームプレイだ。仲間との協調・和が求められるが、結局の所スポーツで、レギュラーは9人って定員があって、しかも打順が決められる。お手々繋いで全員でゴールテープを切ったり、全員が主人公の学芸会の様に、訳の分からない協調性やら連帯意識なんぞ持てない競争社会なのだ。個々の力と適性を監督が見極めて攻撃と守備それぞれのポジションに配置する。(荒シーの監督は胡麻擂りやら演技に騙されたり自分好みの選手を贔屓する事は無かった。良い監督だった。だからこその強さがあったのだ。)つまり、幼少期の純真無垢な少年に対した明確な能力の優劣だ。その辺でねじけて脱落する人間も少なくない。だがしかし、俺はそんな程度の事でねじける事は無かった。それは生まれて直ぐから大家族の末っ子と言う最弱者として生きていたからに他ならない。泣いていじけている間に食べ物は奪われてしまうのだ。俄然、様々な物に対する執着心は強くなり、同時に様々に対する欲求も強くなる。有効だと判断すれば泣いて見せるし、甘えさせて貰える様に明るく笑う事もした。兄弟間の熾烈な競争に負けまいと必死になって様々な努力をした。そう、努力だ。家庭環境で培われたなにくそ根性の努力で、俺は荒シーでも必死になって努力した。ねじけていじけて立ち止まる暇人を置いて俺は歯を食い縛って努力したのだ。それもこれもポジションに対する執着心と欲求の為せる業。俺は昔からチビで、他者と比べて身体的に圧倒的不利を抱えていたのだから、それは生半可な努力じゃあ無かった。毎晩荒シーの練習後に河川敷で素振りと走り込みを繰り返した。掌は豆だらけで、それらは出来ては潰れてを繰り返す。痛みでバットも握れなくなる程だったけれど、テーピングでバットと手を固定して素振りを続けたりもした。痛みで熱い掌も、強さへの道程だと思えばどうと言う事は無かった。そうして俺はホームランも打てないチビながらも、強豪と言われる荒川シーブリームスで4番を打つ様になったのだ。守備も希望通りのサード。望みを叶えた俺は、それでも慢心する事なくそれまで通りに河川敷での練習を続けたし、荒シーでも精一杯の努力を続けた。
と、ここまでだけだと、俺は元気一杯の爽やか末っ子野球少年で、ねじけた心のかけらも無い。自分で言うのも何だが、良くもまあここまですくすく真っ直ぐ育ったものだと感心する。問題はその後だ。
日付なんざ覚えていない。ただボーイズの小学生の部から中学生の部に上がって直ぐだったのは確かだ。中学生の部でも俺の努力に培われた能力は健在で、4番サードの田島悠一郎は不動だった。野球は相も変わらず楽しくて堪らず、努力も疲れもいっそ快感と言っても過言じゃあ無い程。
着慣れない学生服に持ち慣れたナイロンバッグを持って、荒シーの更衣室のドアノブに手を掛けた時、中から俺の名前が聞こえた。俺は思わずノブを引く手を止めた。
「なんか田島ってむかつくよな」
「そーそー無駄にうるさいし」
「田島が居ると打順が下がるんだよな」
「天才様には凡人が何やったって敵わねぇよ」
「田島が居るとやる気が出ねーんだよな」
「そーなんだよどうせ頑張ったって無駄だし」
「別のチームに移らねーかな」
それらの声は、ナイピやらナイバッチやらを互いに掛け合った声に違いなかった。
昨日までは笑顔で話していた相手だったのだ。
全身の血液が温度を無くした。こころが歪んでいびつになって行くのを感じた。チームメイトに対する親愛の情やら尊厳やらが砂漠の砂の様に乾いてそよ風程度の微風に飛ばされて行くのが分かった。強くノブを握り勢い良くドアを開ける。瞬間大きな風が吹いて、一粒残らず情やらが吹き飛んだ。さっぱりした。
「おーっす。今日もがんばろーぜ!」
何時も通りの笑顔と挨拶で室内に入る。
「おーお前ほんっと毎日元気な」
「あんま飛ばし過ぎんなよ」
「今日監督ちょっと遅れるってさ」
驚きも笑顔の引き攣りも無い、何時も通りの対応が返って来て、ああこいつらずっとこうだったのか、と笑顔の裏で思った。
野球はチームプレイだ。チームの和が求められ、チームメイトとの協調が重要だ。倫理的行動に反する暴力行為や道義に外れた飲酒喫煙等の行いにも厳しい。チーム内で暴力事件を起こしてボーイズから除籍されては本末転倒。俺は野球が大好きで、努力も惜しまずこれまでの人生を捧げて来たのだ。
「監督いねぇんならバッティングばっかしよーかな」
見事な笑顔と声色で言った。
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2008/11/19 01:12 | Comments(0) | TrackBack() | 小話

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