なっがーーーーーい間何も書いてないので練習
想いが通じたと歓喜したのはいつだったか。そんなに遠くの出来事ではなかった筈だけれど、思い出すことが出来ない。砂埃に塗れた体。明かりも点けないままの部屋の隅で膝を抱えて蹲る。階下からは夕食の鼻腔を擽る香りが漂い、空っぽの腹が空腹を訴えてひとつ鳴いた。同時に込み上げる吐き気に涙を浮かべた。
クラスメイトとの会話は元より少ない方だった。
けれど数少ないそれはゼロになった。
チームメイトとの会話は限りなくゼロに近かった。
ほぼ全ての会話は田島君を介して行われる事となった。
何も知らない人は直接オレに話しかけるけれど、直後、オレが顔を向けるより先、田島君によって遮られた。
「ごめんな、俺、わがままな末っ子だからさ」
だから自分のモノが他人に触られるのが我慢できないんだ。
だから自分のモノが他人に使われるのが我慢できないんだ。
だから自分のモノが他人に興味を持たれるのも嫌だし、自分のモノが俺以外を見るのも嫌なんだよね。
想いが通じたと歓喜したときは、そこから先の日々は薔薇色に満ちていると思った。
オレの世界は遮断され、オレの全ては田島君になった。
そんな日々。
オレは幸福でならない。
誰かに求められる事のなんと幸せな事か。
誰かに必要とされる事の喜びは筆舌に尽くしがたく、その誰かはオレの最愛の、あの田島悠一郎で、オレは身に余る光栄に打ち震える。
想いが通じたと歓喜したあの日のあの喜びは喜びなんかではなかった。
今この日々、この田島君に求められるこの日々こそが喜びなんだと、オレは砂埃に塗れたユニフォームを握り締めた。
込みあがる吐き気はいったい何に因るモノなのか、今のオレには分からない。
オレは、今、幸福なのだから。
幸福な筈なのだから。
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